朝日新聞(2023年10月31日付記事)
三重県四日市市の工場で工事の現場監督をしていた男性が自殺したのは職場でのいじめなどが原因だったとして、四日市労働基準監督署は労災と認定した。遺族は勤務先の会社を相手取り、賠償を求めて提訴することも検討している。
遺族側の弁護士が31日、名古屋市内で記者会見を開いて明らかにした。遺族や弁護士によると、自殺したのは愛知県豊田市出身の男性(当時21)。高校卒業後の2019年4月、高圧ガス関連の機械製造などを事業とする鈴木商館(本社・東京都板橋区)に入社した。
20年9月、四日市市の半導体工場の配管工事などの現場監督に就いたが、21年1月に自殺。遺書では、職場で「使えない」「ゴミ」と暴言を受けるなど、「数えられないほど、いじめを受けた」と訴えていた。遺族側の弁護士によると、現場監督は下請け業者などの約200人と関わり、仕事の内容も工程確認や発注など多岐にわたる。入社直後で監督経験もない男性にとっては難度が高かったという。
労基署は今年4月、現場監督の業務量と暴言などのいじめが強い心理的負荷を与え、自殺したと認定した。父親(52)は「会社は何も説明せず、いじめも認めない。怒りしかない」と話した。鈴木商館は「社員が自死したことは大変遺憾。労災認定の結論を承服するものではありませんが、ご冥福をお祈りいたします」などとコメントした。
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